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書をもって、街に出る

といいつつ、なかなか出ない

「野宿すればいいや」という無敵スタンス かとうちあき『野宿入門』

先日、高田馬場駅で友人と待ち合わせる機会があった。

 

前の時間が結構空いていたので、近くの図書館で暇を潰すことにした。

 

高田馬場に近い図書館と言えば、新宿区立中央図書である。

 

入り口の守衛さんの礼儀正しい挨拶が清々しい。うむ、いい図書館だ。(何様)

 

さて、入ってすぐの書架に鎮座していた一冊の本に自分は早々と目を奪われた。

 

タイトルはズバリ『野宿入門』。

 

(絶対面白いやつだ、これは)

 

という確信のもとにページを繰ったら、案の定面白くて一気に読み通してしまった。

 

考えてみれば、今まで「the野宿」という体験をしたことが全くない。

 

旅は好きな方だ。バックパック貧乏旅行で東南アジアを一周したときに、空港の乗り継ぎのために港内の固ーいベンチで一夜を明かしたこともある。

 

そんな、今から考えれば誰もが思い付きそうなよくある対処法でさえ、当時の自分からしたらビクビクもので、「誰かに荷物を盗られるんじゃないか」「誰かに怒られるんじゃないか」と臆病風に吹かれ、ほとんど一睡も出来なかったことを覚えている。

 

 そもそも、「泊まるところがなかったら、野宿でもすればいい。」という発想が皆無であった。夜は、屋根があって安全でプライベートが守られる環境下で寝られて当然、という意識がすっかり定着してしまっていた。

 

この本は、その意識をとても気持ちよく引っくり返してくれた。

 

なにより、語り口とか、野宿に対するスタンスとかが決して押し付けがましくなく、「機会があったらやってみればいいんじゃない?」とでも言うような、ほんわかシニカルな感じが、なんだかこう、とても気楽でいい。

 

こういう文章を自在にかけるようになれたらな、と思う。

 

とりあえず、終電を逃したときの選択肢が一つ増えたというだけでもたいした収穫である。

 

この本を書架に置いてくださった司書さんにも深く感謝いたします。(あなたもたまに野宿したりしてるんでしょうか?)

 

野宿入門

野宿入門